

断裁機の基本的な機構は、”積紙をクランプして固定する。”
”刃物を上下にスライドする。”積紙を所定の位置に送りだす。”の3つとなります。
紙締め機構とその役割
【クランプ時】
油圧シリンダーの推力で、押さえグシを引き降ろし、紙をクランプします。
【アンクランプ時】
吊り上げバネの引っ張り力で、押さえグシを引き上げて、油圧シリンダーを押し下げてアンクランプします。
断裁のしくみ
断裁機では、電動機の出力を電磁クラッチ・ブレーキを介してウオーム軸を回転させ、ウオームホイルを回し、クランプ運動で刃物ホルダーを斜めに上下させて、鋭利な刃先を定規に強く押付けて紙を断裁します。
送り機構
送り機構は、ACサーボモーターより出力された回転数でボールネジを回転させて、バックゲージを前後進させています。このボールネジは、スキマゼロでバックラッシュが無いため、極めて正確な位置決めが可能です。又繰り返し停止精度も正確ですので紙を同じ長さに切断する事が可能です。

トラブルカット
断裁作業において、種々のトラブルカットを生じる場合があります。
積紙の巾、上下方向について、直線に、直角に断裁する正常カットに対して、トラブルカットは大別すると、下記のように分けられます。

正常カット

アンダーカット

オーバーカット

凹カット

凸カット

- ○アンダーカット---積紙の下が短い。下層の紙が引き出される傾向。
- ○オーバーカット---積紙の下が長い。刃がしのぎ方向へにげる傾向。
- ○凹、凸 カット ---断裁面が凹状、凸状にカットされる。
トラブルカットの要因
一般的には、紙質に対して、クランプ圧及び刃角がマッチイングしていなくて不具合になる場合が多く、よって、これらの3要素を適正化することにより、改善できる場合が多いと考えられます。(→刃物の知識;紙質、刃角、クランプ圧 参照)
上記3要素を含め、考えられる要因を以下にまとめます。
- ○断裁機(紙締め、断裁、送り機構等の精度、調整不良)
- ○断裁条件(クランプ圧力、他)
- ○刃物(角度、材質、歪み、摩耗度合)
- ○紙(紙質、積紙状態-突揃え、エアー抜き度合)
トラブルカットの対応(参考)
- (1)アンダーカット
- 【原因】
- クランプ圧が低すぎる
- 刃角が鈍角過ぎる
- 刃物の歪み
- 【対策】
- クランプ圧を高くする
- バックゲージの角度を調整する
(アンダーカットの度合いに応じてバックゲージを前方に傾ける)
- 刃物を取り替える(刃角の適正化、歪みの矯正)
- (2)オーバーカット
- 【原因】
- クランプ圧が高すぎる
- 刃角が鋭角過ぎる
- 刃物の切れ味が悪い
- 刃物の歪み
- 【対策】
- クランプ圧を低くする
- バックゲージの角度を調整する
(オーバーカットの度合いに応じてバックゲージを後方に傾ける)
- 刃物を取り替える(刃物研磨、刃角の適正化、歪みの矯正)
- (3)(4)凹カット ・ 凸カット
- 【原因】
- 【対策】
- 刃物を取り替える(曲り、歪みの矯正、刃角の適切化)
- クランプ圧の均等化(クランプ圧調整、ラバー等による均等化)